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地域創生Coデザイン研究所

木村篤信が2025年度の日本デザイン学会誌特集号「環世界のまんなかでデザインする」にて「現場のナラティヴと社会システムを往還する共創実践者の環世界~人・社会システムの構造が組み変わるリビングラボの実践知~」を寄稿しました

株式会社地域創生Coデザイン研究所ポリフォニックパートナーの木村篤信が、2025年度の日本デザイン学会誌特集号 第32巻1号「環世界のまんなかでデザインする」にて「現場のナラティヴと社会システムを往還する共創実践者の環世界~人・社会システムの構造が組み変わるリビングラボの実践知~」を寄稿しました。

日本デザイン学会は、1953年以来、デザインに関する学術的研究の進歩発展に寄与することを目的として活動を行っている学術団体です。デザインに関する多岐に渡る研究部会があり、プロダクトやファッションのデザインから情報や社会のデザインまで、幅広い実践や方法論の研究議論が行われています。

特集号の巻頭言には、日本デザイン学会 情報デザイン研究部会が向き合ってきた問いとして、以下のような問題意識が掲載されています。

「ふだんの私たちは、近代合理主義によって整えられた社会の時間を生きている。そこでの時間は、学習や労働などあらゆる営みが成長エネルギーをもって動いている。そのような線形的な拡大をもたらすシステム世界を無自覚に生きている間に、毎日150種の生物が絶滅し(UNEP, 1995)、アマゾンの熱帯雨林は毎分1.5ヘクタールずつ消失している(WWF, 2020)。そればかりか、世界ではいまだ7億人以上が1日2ドル未満で暮らし、教育や医療、基本的な生活の保障のない現実を生きている(World Bank, 2022)。足元、日本の地方都市では、公営住宅の再開発や統廃合政策によって、人生の大半を過ごした住処や共同体が解体され、その土地に結びついた〈ひと・もの・こと〉の記憶が人知れず消えつづけている(林 他,2022)。
このように、人間中心の社会システムへの依存を続けるうちに、人間を含むあらゆる生きものの〈生きる〉可能性は、社会制度と自然環境の両側面から、いまもなお縮小しつづけている。」

 
一方、株式会社地域創生Coデザイン研究所は、現代社会の社会システムの限界が多様な社会課題を生み出し、また、地域の持続可能性が失われつつあるという課題意識にもとづき、それを乗り越える手法として共創・Coデザイン・リビングラボのアプローチ※1を主題とし、持続可能な地域社会への変革に向けた実践や方法論の研究、人材育成、仕組みづくりに取り組んできました。
その中でも、弊所研究員である木村篤信は、日本の中でも早くからリビングラボの調査・研究・実践に取り組んできた人物であり、サービス学会特集号掲載論文「社会課題解決に向けたリビングラボの効果と課題」国立国会図書館調査資料「リビングラボの可能性と日本における構造的課題」は、国内のリビングラボ研究で多数引用されている論文の一つです。
また、日本全国のリビングラボの実践、研究についての対話が行われる全国リビングラボネットワーク会議の主催や、リビングラボ実践者・研究者が毎月集う日本リビングラボネットワークの運営も行っています。

 これらのリビングラボ実践・研究の立ち位置から、特集号「環世界のまんなかでデザインする」に対して、「現場のナラティヴと社会システムを往還する共創実践者の環世界~人・社会システムの構造が組み変わるリビングラボの実践知~」という論考を寄稿しました。
 
 
■木村篤信の論考
「現場のナラティヴと社会システムを往還する共創実践者の環世界~人・社会システムの構造が組み変わるリビングラボの実践知~」(掲載論文はこちら)

■特集号概要

▼タイトル:
日本デザイン学会誌特集号 第32巻1号「環世界のまんなかでデザインする」
▼掲載URL:
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jssds/32/1/32_32_1_9/_article/-char/ja
▼目次
巻頭言:環世界のまんなかでデザインする 横溝賢氏(札幌市立大学/准教授)
誰もがデザインする社会をめざして─ローカルなデザインからデザイン文化を醸成していく 原田泰氏(株式会社デザインコンパス/代表取締役)
デザイン教育者の環世界 リフレクティブ・エッセイで捉えるゼミの活動構成 富田誠氏(東海大学/教授)、上平崇仁氏(立命館大学/教授)、福田大年氏(札幌市立大学/准教授)
リフレクションが拓くデザイン実践の意味 自己省察の対話から見えてくるデザイナーの環世界 瀧知惠美氏(株式会社MIMIGURI/知識創造室マネージャー)、小早川真衣子氏(千葉工業大学先進工学部知能メディア工学科/教授)、須永剛司氏(公立はこだて未来大学・東京藝術大学 名誉教授)
道具を作る環世界とその意味 日常を世界とつなぐ 宮田義郎氏(中京大学/特任研究員)
現場のナラティヴと社会システムを往還する共創実践者の環世界 ~人・社会システムの・構造が組み変わるリビングラボの実践知~ 木村篤信(日本リビングラボネットワーク/代表理事、東京理科大学/客員准教授、地域創生Coデザイン研究所/ポリフォニックパートナー)
情報デザインと環境倫理に橋を架ける ─ 情報デザイン研究部会での活動を振り返って
二宮咲子氏(関東学院大学 人間共生学部 共生デザイン学科/准教授)
ビジネス世界と生活世界を往還する若手デザイナーの環世界 海野真梨菜氏(旅する研究室/UX・UIデザイナー)、木下菜穂氏(旅する研究室/UX・UIデザイナー)
微生物との共生から生まれる流動的な世界の見方 荒石磨季氏(旅する研究室)
構成的行為としての環世界のデザイン 中島秀之氏(札幌市立大学/学長)
Info-Dの〈デザイン環世界〉を描く ドキュメンテーションによる実践知と構造的余白の可視化 中島郁子氏(女子美術大学短期大学部/非常勤講師)

※1: リビングラボとは、サービスの利用者である生活者と、サービスの提供者である企業・行政などが共にサービスを創る(共創する)方法論です。(引用:木村,(2021)「高齢者を支える技術と社会的課題」第5章 リビングラボの可能性と日本における構造的課題、(調査資料2020-6)国立国会図書館調査及び立法考査局)

※2:社会システムデザイン方法論とは、目の前に現れる“バケツの「水漏れ」”のような問題に対処するだけでは、問題が生じる構造は温存され、また同様の水漏れが生じるという問題意識から、バケツを巡る一連の水の出入りを構造的に捉えて転換する方法論です。(引用:Atsunobu Kimura, Hisashi Haraguchi, Yutaka Yamauchi, Katsuta Matsuura,” Social System Design Methodology for Transitioning to a New Social Structure – A Holistic Urban Living Lab Approach to the Well-being City -”, Front. Sociol. Sec. Sociological Theory, Vol. 8.)

■木村篤信について

木村篤信について大阪大学、奈良先端科学技術大学院大学を修了後、NTT研究所に入社。企業内でのUXデザイン・デザイン思考・サービスデザインの方法論研究・人材育成・コンサルティングに取り組む。その中で企業内に閉じられたデザイン研究・実践の限界を感じ、社会に開かれたソーシャルデザインの研究・実践プロジェクトを立ち上げる。福岡県大牟田市、奈良県奈良市との共同実験プロジェクトを協働する中で、NTT西日本と理念を共有し、2021年、NTT西日本グループの子会社である地域創生Coデザイン研究所の設立に関与し、参画。現職。博士(工学)。
主としてHCI、CSCW、UXデザイン、リビングラボ、社会システムデザインの研究開発に従事。デザイン研究のチームを牽引し、企業のサービスデザインプロジェクト、地域のソーシャルデザインプロジェクトを多数実践し、コンサルティングや教育活動も行っている。現在は、「人々が主体的に共創できる社会」という地域創生Coデザイン研究所のビジョンに向けて、社会課題解決やウェルビーイング実現に向けたデザイン方法論やデザイン人材教育方法論などの研究・実践を主題にし、大牟田市などの地域パートナーともに、まちづくり、地域経営、リビングラボ、社会システムデザインなどの文脈で新しいソーシャルデザインのあり方を探求中。2023年には、セクターを超えた共創であるリビングラボの日本での普及展開に取り組むために、日本リビングラボネットワーク (Japanese Network of Living Labs:JNoLL)を設立し、代表理事に就任。
著書に「はじめてのリビングラボ」(NTT出版|2025年)「2030年の情報通信技術生活者の未来像」(NTT出版|2015年)等。



▼主な役職:

地域創生Coデザイン研究所(NTTグループ)
ポリフォニックパートナー
日本リビングラボネットワーク
代表理事
大牟田未来共創センター
パーソンセンタードリサーチャー
東京理科大学
客員准教授
東京電機大学
非常勤講師
東京都市大学
非常勤講師
京都大学デザインイノベーションコンソーシアム
フェロー
ソーシャルビジネスネットワーク
フェロー
日本デザイン学会 情報デザイン研究部会
幹事
横浜市PTA連絡協議会
理事
生駒市「緑の基本計画改定懇話会」
有識者(リビングラボ)
独立行政法人科学技術振興機構(JST) 社会技術研究開発センター(RISTEX)
ケアが根づく社会システム 領域アドバイザー
デジタル庁
認定Well-beingファシリテーター

 
▼参考情報:
詳しい研究活動紹介はこちら

※記載している情報は発表日時点のものです。現時点では発表日時点での情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承いただくとともにご注意をお願いいたします。

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