Project Reports SOS子どもの村福岡 訪問記~村全体で子どもを養育する~

キャリアデザイン/担い手/雇用/教育に関するレポートです。

SOS子どもの村福岡 訪問記~村全体で子どもを養育する~

■SOS子どもの村とは

少し前、福岡市にある”SOS子どもの村”へと訪問してきました。

SOS子どもの村とは、SOS子どもの村インターナショナルという家族と暮らせない子どもたちとその危機にある家庭を支援する、世界最大規模の独立した非営利組織がルーツとなっています。
日本では、2006年に法人を設立、2010年に開村活動を開始し、2016年にSOS子どもの村インターナショナルに正式に加盟しました。

 

■職員の方へのインタビュー

そこで、事務局次長を務めておられる藤本正明さまにお話を伺いました。
藤本さまは東京で会社員として勤務しているときに、奥さまが里親にご興味を持たれたことがきっかけでご自身も里親となられました。
その後、会社員を退職され、福岡市に移住し、10年前からSOS子どもの村に勤務されています。

 
大﨑:SOS子どもの村では主にどういった活動をされているのでしょうか。

藤本さま:私たちは特に2つの活動に力を入れております。一つは子どもの村での里親による養育です。
子どもの村には5軒の一軒家が建っており、現在はそのうちの3軒で里親3名による合計11名の子どもたちを養育しています。

大﨑:里親3名で11名の子どもたちを養育するというのは数が多く、里親1名あたりの負担も大きいように思いますが?

藤本さま:そうですね。ただ、私たちは村の中に専門のチームを作っており、チームで養育を支えています。里親さんには養育をガラス張りにしてもらい、課題などは常にチーム内で共有してもらうようにしています。

大﨑:養育、生活がガラス張りになるといった点で、里親さんのケアも必要になりそうですね。
もう一つはどういった活動でしょうか。

藤本さま:次は、困難を抱える子どもと家族の支援です。
特に最近力を入れているのはショートステイ事業です。
一軒家のうちの2軒をこの事業に利用しています。初めは独自に取り組み始めたのですが、今では福岡市から委託を受けて行っています。

大﨑:どのような方が利用されるのでしょうか。

藤本さま:利用される方は大半がひとり親家庭+多子養育という環境にあります。
やはり、こういった家庭では親たちが育児疲れを起こしやすいということがわかります。

大﨑:子どものケアだけでなく、親のケアにも取り組まれているということですね。

藤本さま:そうですね。ショートステイを通じて、子どもの行動を観察することで家庭で抱える困難が真の意味で垣間見えることがあります。
私たちはこの事業を通じて、困難を抱えた家庭を発見し、つながるということを目的の一つにしています。

大﨑:家庭の中で困難を抱えているにも関わらず、発見されずに社会から孤立してしまっている子ども・親たちがたくさんいると思うので、こういった取り組みは非常に素晴らしいですね。

藤本さま:現在はかなり利用も増えており、お待ち頂いている状況ではありますが、続けていきたいと考えています。
また、福岡市から委託を受けて家庭からの相談支援事業も行っております。
行政で対応できない平日夜間および土日祝祭日での相談を受けています。こちらも相談が多く、1か月~2か月お待ちいただく状況が続いております。

大﨑:それだけ、悩みを抱えている家庭が社会に多いということがわかりますね。

大﨑:このような村を作ることによる地域からの反対などはありましたか?

藤本さま:設立時は地域からかなりの反対に合いました。現在は地域の人が村に遊びに来ることもあり、学校にも当たり前にこの村の子が毎年通うような状況なので地域の人も受け入れてくれていると感じています。当たり前に地域にいつも存在するということが大事なのかもしれません。

大﨑:子どもの村での養育は、家庭の一つの形なのかなと考えています。村を作るまではいかなくとも、地域での養育が家庭の一つの形として当たり前に他の地域に浸透していけば、すばらしいですね。

藤本さま:そうですね。私たちも同じ形態の村を他の地域に広げたいと以前は考えていましたが、現状かなりの金額を寄付で賄っているという状況なので、このノウハウだけでも他の地域に展開していきたいと考えています。

この記事を書いた担当者

大﨑 純子

オオサキ ジュンコ

Coデザイン事業部
プロジェクト推進チーム
研究主任 リードCoクリエイター

今回の訪問では、貴重なお話をたくさん伺うことができました。SOS子どもの村で取り組まれているような”地域で子どもを養育する”という形が、家庭の一つの形として、社会に浸透し、当たり前に受け入れられることを願っています。