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木村篤信が韓国の科学技術政策研究院主催の第453回科学技術政策フォーラム「社会的インパクト創出のための企業イノベーション~日韓事例を中心に~」に登壇します

持続可能な地域社会への変革を見据え、「人々が主体的に共創できる社会」の実現をめざす株式会社地域創生Coデザイン研究所(代表取締役所長 北山 泰三/以下、地域創生Coデザイン研究所)ポリフォニックパートナーの木村篤信が、科学技術政策研究院主催、株式会社韓国エーザイ(以下、韓国エーザイ)、韓国リビングラボネットワーク主幹の第453回科学技術政策フォーラム「社会的インパクト創出のための企業イノベーション~日韓事例を中心に~」に登壇いたします。

韓国は、リビングラボが国策として取り組まれており、政府系科学技術政策研究機関である科学技術政策研究院(STEPI)がけん引して、社会課題解決の実現をめざしています。2010年代中ごろから韓国内でリビングラボが活発になり、従来の技術やビジネス中心の研究開発・技術開発ではなく、PM2.5や地球温暖化などもスコープに入れて社会的価値や社会問題の解決が注目されてきました。そして、2014年に、経済成長だけでなくQoLを軸にした社会問題解決型研究開発事業の計画が立てられ、その方法論としてリビングラボが取り上げられました。また、産官学民がつながるプラットフォームである韓国リビングラボネットワークが形成され、韓国エーザイなどを含めた多様なステークホルダーがリビングラボの実践に取り組んでいます。

一方、地域創生Coデザイン研究所は、現代社会の社会システムの限界が多様な社会課題を生み出し、また、地域の持続可能性が失われつつあるという課題意識にもとづき、それを乗り越える手法として共創・Coデザイン・リビングラボのアプローチ※1を主題とし、持続可能な地域社会への変革に向けた実践や方法論の研究、人材育成、仕組みづくりに取り組んでいます。
その中でも、弊所研究員である木村篤信は、日本の中でも早くからリビングラボの調査・研究・実践に取り組んできた人物であり、サービス学会特集号掲載論文「社会課題解決に向けたリビングラボの効果と課題」国立国会図書館調査資料「リビングラボの可能性と日本における構造的課題」は、国内のリビングラボ研究で多数引用されている論文の一つです。
また、日本全国のリビングラボの実践、研究についての対話が行われる全国リビングラボネットワーク会議の主催や、リビングラボ実践者・研究者が毎月集う日本リビングラボネットワークの運営も行っています。

韓国では、大企業による企業イノベーション活動において、市民と共創があまり取り入れられていない現状が課題となっています。そこで本イベントでは、日本企業のリビングラボ事例の話題提供をきっかけに、経営や実務の視点でどのような課題や工夫があるのかを、基調講演、パネルディスカッション、ワークショップ等を通じて明らかにすることを目的としています。

1:リビングラボとは、サービスの利用者である生活者と、サービスの提供者である企業・行政などが共にサービスを創る(共創する)方法論です。(引用:木村,(2021)「高齢者を支える技術と社会的課題」第5章 リビングラボの可能性と日本における構造的課題、(調査資料2020-6)国立国会図書館調査及び立法考査局

第453回科学技術政策フォーラム
「社会的インパクト創出のための企業イノベーション~日韓事例を中心に~」

■プログラム概要

2023年9月13日(水曜日)14時00分~17時00分

      ・基調講演 「市民・地域と共にする企業社会イノベーション」
       ソン・ジウン STEPIシニア研究委員
      ・招待講演 「社会的インパクトを志向する大牟田リビングラボでの実践」
       木村 篤信 地域創生Coデザイン研究所 ポリフォニックパートナー
      ・招待講演 「日立における社会イノベーションの活動」
       柴田 吉隆 株式会社日立製作所 研究開発グループ デザインセンタ 主管デザイナー
      ・事例発表 「ケア転換と企業社会イノベーション:韓国エーザイの実践」
       ソ・ジョンジュ 韓国エーザイ 理事
      ・パネルディスカッション

    ■木村篤信について

    [写真]木村篤信
    大阪大学、奈良先端科学技術大学院大学を修了後、NTT研究所に入社。企業内に閉じられたデザイン研究・実践の限界を感じ、社会に開かれたソーシャルデザインの研究・実践プロジェクトを立ち上げる。福岡県大牟田市、奈良県奈良市との共同実験プロジェクトを協働する中で、NTT西日本と理念を共有し、2021年、NTT西日本グループの子会社である地域創生Coデザイン研究所の設立に関与し、参画。現職。博士(工学)。デザインイノベーションコンソーシアム フェロー。東京理科大学 客員准教授。
    主としてHCI、CSCW、UXデザイン、リビングラボの研究開発に従事。デザイン研究のチームを牽引し、企業のサービスデザインプロジェクト、地域のソーシャルデザインプロジェクトを多数実践し、コンサルティングや教育活動も行っている。現在は、「人々が主体的に共創できる社会」という地域創生Coデザイン研究所のビジョンに向けて、社会課題解決やウェルビーイング実現に向けたデザイン方法論やデザイン人材教育方法論などの研究・実践を主題にし、大牟田市などの地域パートナーとともに、まちづくり、地域経営、サービスデザイン、社会システムデザインなどの文脈で新しいソーシャルデザインのあり方を探求中。著書に「2030年の情報通信技術生活者の未来像」(NTT出版|2015年)など。
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