News

【Coデザ共催】木村篤信がQUINTBRIDGE・地域創生Coデザイン研究所共催の「ビジネスとソーシャルのあわい~あわいの価値を生み出す共創(Coデザイン)に向けて~」に登壇します

セクターを超えた共創の方法論「リビングラボ」についての研究・実践に取り組んできた株式会社地域創生Coデザイン研究所(代表取締役所長 北山 泰三/以下、地域創生Coデザイン研究所)ポリフォニックパートナーの木村篤信が、QUINTBRIDGE・地域創生Coデザイン研究所共催の「ビジネスとソーシャルのあわい~あわいの価値を生み出す共創(Coデザイン)に向けて~」に登壇いたしますので、お知らせいたします。

SDGs、Well-being、Sustainabilityなどのキーワードに注目が集まり、企業も「社会のことを考える」ことが強く求められるようになってきました。昔から、近江商人の三方良しという考え方はあるものの、企業の論理の根底には、(対価を払ってくれる=支払い能力がある)お客さまのため、という原理原則が存在します。一方で、「社会のことを考える」ということは、もう少し、広く奥深いことを意味しています。
たとえば、ある活動によって便益を得る人(受益者)がカンボジアの子どもだったり、過疎地の高齢者だったりした場合、便益に対する対価を支払ってもらう対価型のモデルでは活動が持続できません。そのようなとき、受益者以外の収入源として、事業に共感した人から寄付金を集める寄付型のモデルや、支払い能力が十分でない受益者の労働力によって資金を生み出す受益者労働モデル、行政からの事業受託モデルなどが活用されています(駒崎,2016)。
よくNPOや市民団体の活動について、主に寄付などの外部からの資金を活用している点がソーシャルビジネスとの違いとして説明されますが、それはあくまでも形式上の違いです。その根本は、お客さまのためではなく、市民(暮らしの当事者)のためという原理原則から始まることにあります。
今、ソーシャルビジネスが脚光を浴び、多くの企業が社会的課題に取り組もうとする潮流があることは歓迎すべきことでしょう。しかし、一方で、わかりやすいビジネスモデル(受益者負担)が成立する領域・共感が成立する領域でしかビジネスが生まれていない現状もあります(山口,2020) 。そして、この領域こそ、ソーシャルイノベーション、Well-being、Sustainabilityなどのコンセプトが本質的にめざす「ビジネスとソーシャルのあわい」の領域なのではないでしょうか。

2025年の大阪・関西万博では、People’s Living Labというコンセプトを掲げています。「Living Lab(リビングラボ)」とは、産官学民のそれぞれのステークホルダーが、セクターを超えた共創共創をするための仕組みです。そして、そのような共創の営みから「あわい」の領域の価値が生み出されることが期待されます。

弊所研究員である木村篤信は、日本の中でも早くからリビングラボ※1の調査・研究・実践に取り組んできた人物であり、サービス学会特集号掲載論文「社会課題解決に向けたリビングラボの効果と課題」国立国会図書館調査資料「リビングラボの可能性と日本における構造的課題」は、国内のリビングラボ研究で多数引用されている論文の一つです。
また、日本全国のリビングラボの実践、研究についての対話が行われる全国リビングラボネットワーク会議の主催や、リビングラボ実践者・研究者が毎月集う日本リビングラボネットワークの運営も行っています。

本イベントでは、デンマークや日本の先進事例を中心に、国内外の市民(暮らしの当事者)のためという原理原則に基づいたまちづくりの取り組みを参照しつつ、これからの大阪・関西・日本の「ビジネスとソーシャルのあわい」について対話します。

1:リビングラボとは、サービスの利用者である生活者と、サービスの提供者である企業・行政などが共にサービスを創る(共創する)方法論です。(引用:木村,(2021)「高齢者を支える技術と社会的課題」第5章 リビングラボの可能性と日本における構造的課題、(調査資料2020-6)国立国会図書館調査及び立法考査局

ビジネスとソーシャルのあわい
~あわいの価値を生み出す共創 (Coデザイン)に向けて~

      日程:2023年10月11日(水) 15:30~17:10頃(第二部として17:30頃から希望者で車座トーク)
      場所:QUINTBRIDGE 1F
      参加資格:建設的な対話ができる方はどなたでも
      申込URL:QUINTBRIDGEホームページからお申し込みください。
      https://www.quintbridge.jp/event/detail/202309280000.html
      定員:30名
      費用:無料

■内容

15:30~15:40
  イベント企画者のオープニングトーク
  地域創生Coデザイン研究所 木村篤信/NTT西日本(QUINTBRIDGE)下川哲平/
  大阪府 粟井美里
15:40~16:10
  話題提供
  1.NTTテクノクロス 大野健彦さん「デンマークのサスティナブルなまちづくり」
  2.地域創生Coデザイン研究所 木村篤信「大牟田市のウェルビーイングなまちづくり」
  3.宇陀市 甲賀晶子さん「宇陀市のオーガニックなまちづくり」
  4.大阪府 粟井美里さん「地域課題解決に向けた大阪のスマートシティ」
  5.三宅町長 森田浩司さん「全国で2番目に小さい町の、日本一夢が叶う住民参加型まちづくり」
16:10~17:10頃
  パネルディスカッション&会場クロストーク
  テーマ1.マルチステークホルダーで生み出したい価値はなにか?
  テーマ2.共創するときの難しさや工夫のポイントは?

【第二部】
17:30頃~
 カフェでお酒や飲み物を買ってきて、残りたい人だけで車座トーク

■共催

QUINTBRIDGE
地域創生Coデザイン研究所

■木村篤信について

[写真]木村篤信
大阪大学、奈良先端科学技術大学院大学を修了後、NTT研究所に入社。企業内に閉じられたデザイン研究・実践の限界を感じ、社会に開かれたソーシャルデザインの研究・実践プロジェクトを立ち上げる。福岡県大牟田市、奈良県奈良市との共同実験プロジェクトを協働する中で、NTT西日本と理念を共有し、2021年、NTT西日本グループの子会社である地域創生Coデザイン研究所の設立に関与し、参画。現職。博士(工学)。デザインイノベーションコンソーシアム フェロー。東京理科大学 客員准教授。
主としてHCI、CSCW、UXデザイン、リビングラボの研究開発に従事。デザイン研究のチームを牽引し、企業のサービスデザインプロジェクト、地域のソーシャルデザインプロジェクトを多数実践し、コンサルティングや教育活動も行っている。現在は、「人々が主体的に共創できる社会」という地域創生Coデザイン研究所のビジョンに向けて、社会課題解決やウェルビーイング実現に向けたデザイン方法論やデザイン人材教育方法論などの研究・実践を主題にし、大牟田市などの地域パートナーとともに、まちづくり、地域経営、サービスデザイン、社会システムデザインなどの文脈で新しいソーシャルデザインのあり方を探求中。著書に「2030年の情報通信技術生活者の未来像」(NTT出版|2015年)など。
詳しい研究活動紹介はこちら