木村篤信がヒューマンインタフェース学会にて「ウェルビーイングと人手不足を両立して社会システム転換を志向するリビングラボ ~労働供給制約社会をトリガーとした共通のアジェンダ形成~」の発表を行います
株式会社地域創生Coデザイン研究所ポリフォニックパートナーの木村篤信が、ヒューマンインタフェース学会主催の第210回研究会「サービスデザインの理論と実践(5)」にて「ウェルビーイングと人手不足を両立して社会システム転換を志向するリビングラボ ~労働供給制約社会をトリガーとした共通のアジェンダ形成~」の発表を行いますので、お知らせいたします
「デザイン」や「共創」という言葉が様々な領域で用いられるようになっています。デザインや共創は、実社会における実践的な行為ですが、その過程や結果を内省し概念化・理論化すること、ならびに、そうやって生み出された概念や理論を次なる実践で活用することが、実践知の共有や積み上げと活用という観点で、極めて重要になります。しかしながら、そのようなデザイン・共創分野における実践的行為をベースとした研究は、日本ではまだ定着しておらず、「理論」と「実践」がうまくつながっていないケースが多く見受けられます。
このような中で、ヒューマンインタフェース学会のユーザエクスペリエンス及びサービスデザイン専門研究委員会(SIG-UXSD)では、サービスデザインをテーマとする研究会を開催し、理論と実践の関係について議論を深めてきており,本研究会においても、その継続的な活動の一環として、「サービスデザインの理論と実践」をテーマとした研究会が開催されています。
一方、株式会社地域創生Coデザイン研究所は、現代社会の社会システムの限界が多様な社会課題を生み出し、また、地域の持続可能性が失われつつあるという課題意識にもとづき、それを乗り越える手法として共創・Coデザイン・リビングラボのアプローチ※1を主題とし、持続可能な地域社会への変革に向けた実践や方法論の研究、人材育成、仕組みづくりに取り組んできました。
そこで,第210回研究会「サービスデザインの理論と実践(5)」では、人口減少時代におけるリビングラボの実践について、以下の発表を行います.
■発表タイトル・掲載論文
「ウェルビーイングと人手不足を両立して社会システム転換を志向するリビングラボ ~労働供給制約社会をトリガーとした共通のアジェンダ形成~」(掲載論文はこちら)
これまでにない次元の人口減少によって引き起こされる労働力不足は、個別組織の人材確保や単純なデジタル技術導入だけでは対応しきれない事態であることが指摘されています。これを乗り越えるためには、労働力不足を地域や社会の問題として捉え、他のステークホルダーと連携して、新しいモデルへの転換を志向する必要があります。本報告では,労働供給制約社会という差し迫った現象をトリガーとして、地域で共通のアジェンダを設定し、実践に取り組む事例について紹介します。これらの実践から得られる知見は、システム・マネジメント分野における、システム・チェンジ、社会システム変革の方法論に示唆を与えるものとなっています。
※1: リビングラボとは、サービスの利用者である生活者と、サービスの提供者である企業・行政などが共にサービスを創る(共創する)方法論です。(引用:木村,(2021)「高齢者を支える技術と社会的課題」第5章 リビングラボの可能性と日本における構造的課題、(調査資料2020-6)国立国会図書館調査及び立法考査局)
■ヒューマンインタフェース学会 第210回研究会「サービスデザインの理論と実践(5)」
- 発表タイトル:「ウェルビーイングと人手不足を両立して社会システム転換を志向するリビングラボ ~労働供給制約社会をトリガーとした共通のアジェンダ形成~」
- 日時: 2024年6月20日(木)
- 場所: docomo R&D OPEN LAB ODAIBA(お台場)/Zoom(Web会議サービス)
- 主催:ヒューマンインタフェース学会
- プログラム概要&参加申込:詳細はこちらから
■木村篤信について
大阪大学、奈良先端科学技術大学院大学を修了後、NTT研究所に入社。企業内に閉じられたデザイン研究・実践の限界を感じ、社会に開かれたソーシャルデザインの研究・実践プロジェクトを立ち上げる。福岡県大牟田市、奈良県奈良市とのリビングラボ共同実験プロジェクトを協働する中で、NTT西日本と理念を共有し、NTT西日本グループの子会社である地域創生Coデザイン研究所の設立に関与し、参画。現職。博士(工学)。東京理科大学 客員准教授。大牟田未来共創センター パーソンセンタードリサーチャー。日本リビングラボネットワーク(JNoLL)代表理事。京都大学デザインイノベーションコンソーシアム フェロー。ソーシャルビジネスネットワーク フェロー。
主としてHCI、CSCW、UXデザイン、リビングラボの研究開発に従事。デザイン研究のチームを牽引し、企業のサービスデザインプロジェクト、地域のソーシャルデザインプロジェクトを多数実践し、コンサルティングや教育活動も行っている。現在は、「人々が主体的に共創できる社会」という地域創生Coデザイン研究所のビジョンに向けて、社会課題解決やウェルビーイング実現に向けたデザイン方法論やデザイン人材教育方法論などの研究・実践を主題にし、大牟田市などの地域パートナーとともに、まちづくり、地域経営、サービスデザイン、社会システムデザイン方法論などの文脈で新しいソーシャルデザインのあり方を探求中。2023年には、セクターを超えた共創であるリビングラボを普及展開に取り組むために、日本リビングラボネットワーク (Japanese Network of Living Labs:JNoLL)を設立し、代表理事に就任。著書に「2030年の情報通信技術生活者の未来像」(NTT出版|2015年)など。
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