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# イベント告知

木村篤信が科学技術振興機構/内閣府主催の総合知ワークショップ〜総合知で切り拓く社会変⾰とビジネスチャンスに登壇します


 株式会社地域創生Coデザイン研究所ポリフォニックパートナーの木村篤信が、2025年2月12日(水)に開催される科学技術振興機構/内閣府主催の総合知ワークショップ〜総合知で切り拓く社会変革とビジネスチャンスに登壇いたしますので、お知らせいたします。

 科学技術基本法は、2021年4月に「科学技術・イノベーション基本法」へと改正されました。改正の最大のポイントは対象の拡大でした。これまで基本法の対象は自然科学であったものが、自然科学と人文科学すべてを対象とし、人文科学自体を持続的に振興するとともに、両者の融合による新たな研究を目指すこととなりました。さらに研究開発の成果を社会に向けて積極的に展開するために、イノベーションの創出という軸が加わりました。
 そして、基本法を踏まえた第6期科学技術・イノベーション基本計画(第6期基本計画)では、Society 5.0の実現に向けて、「総合知による社会変革」を目指す方針が示されました。これは、科学技術・イノベーション政策を、人文・社会科学と自然科学を含むあらゆる「知」の融合による「総合知」(※1)により、人間や社会の総合的理解と課題解決に資する政策へと転換させようという試みであると言えます。
 この基本計画には大きく2つのことが示唆されています。一つは、科学技術・イノベーション政策が、研究開発だけでなく、社会的価値を生み出す政策へと変化してきた中で、これからの政策には、一人ひとりの価値、地球規模の価値を問うことが求められているという点が挙げられます。人文・社会科学の厚みのある「知」の蓄積を図るとともに、自然科学の「知」との融合による、人間や社会の総合的理解と課題解決に資する「総合知」の創出・活用がますます重要となるということを意味し、科学技術・イノベーション政策自体も、人文・社会科学の真価である価値発見的な視座を取り込むことによって、社会へのソリューションを提供するものへと進化することが必要であるとしています。

 もう一つが、この25年間のイノベーションという概念の含意の大きな変化が挙げられます。かつて、企業活動における商品開発や生産活動に直結した行為と捉えられがちだったイノベーションという概念は、経済や社会の大きな変化を創出する幅広い主体による活動と捉えられ、新たな価値の創造と社会そのものの変革を見据えた「トランスフォーマティブ・イノベーション」という概念へと進化しつつあるとしています。
 つまり、これからの科学技術・イノベーション政策は、「変革を見据えた社会的価値の創造」が求められるという示唆になります。

 一方、株式会社地域創生Coデザイン研究所は、現代社会の社会システムの限界が多様な社会課題を生み出し、また、地域の持続可能性が失われつつあるという課題意識にもとづき、それを乗り越える手法として共創・Coデザイン・リビングラボ(※2)のアプローチを主題とし、持続可能な地域づくり、まちづくり、社会変革に向けた実践や方法論の研究、人材育成、仕組みづくりに取り組んでいます。
 その中でも、弊社研究員である木村篤信は、日本の中でも早くからリビングラボの調査・研究・実践に取り組んできた人物であり、サービス学会特集号掲載論文「社会課題解決に向けたリビングラボの効果と課題」国立国会図書館調査資料「リビングラボの可能性と日本における構造的課題」は、国内のリビングラボ研究で多数引用されている論文の一つです。
 また、日本全国のリビングラボの実践、研究についての対話が行われる全国リビングラボネットワーク会議の主催や、リビングラボ実践者・研究者が毎月集う日本リビングラボネットワークの運営も行っています。

 本ワークショップでは、総合知キャラバンの一環として科学技術振興機構と内閣府が共催するものであり、「総合知」をめぐる国内外での取り組み状況を振り返るとともに、今後の科学技術・イノベーション政策の戦略的方向性を探ることをめざします。
 第1部では、第6期基本計画期間中に、国内外で「総合知」がどう展開されたのか、全体的な状況を共有します。国内において「総合知」の認知がどのように広がり深まったか、具体的にどのような取組が生まれてきているか、海外ではどのような問題意識で、どのような関連の取り組みが行われているか等を、これまでの調査結果をもとに振り返ります。
 第2部では、社会変革を目的とする「総合知」について、理解の解像度をあげ、対話の共通基盤を形成するために、『仮説行動』などの著書で知られる馬田隆明氏に講演いただきます。具体的には、社会実装を進めるためのノウハウをまとめた著書『未来を実装する』の内容をもとに、総合知をより推し進めるための方法を模索します。
 そして、第3部では、第1部及び第2部の内容を踏まえ、先進的な取り組みを行っている多様な現場からみた「総合知」の実践上のポイントや課題などを共有するとともに、科学技術・イノベーション政策の今後の方向性や「総合知」に対する期待などについて対話を行います。

※1:内閣府科学技術・イノベーション推進事務局がとりまとめた 「「総合知」の基本的考え方及び戦略的に推進する方策 中間とりまとめ」では、「総合知」を「多様な「知」が集い、新たな価値を創出する「知の活力」を生むこと」と定義しています。

※2:リビングラボとは、サービスの利用者である生活者と、サービスの提供者である企業・行政などが共にサービスを創る(共創する)方法論です。(引用:木村,(2021)「高齢者を支える技術と社会的課題」第5章 リビングラボの可能性と日本における構造的課題、(調査資料2020-6)国立国会図書館調査及び立法考査局)

■総合知ワークショップ〜総合知で切り拓く社会変革とビジネスチャンス(太字)
日時: 2025年2月12日(水)13:00-16:30
会場: 日比谷スカイカンファレンス(ハイブリッド開催)
対象: 社会変革のキープレイヤーである企業やNPO、大学や、政策立案主体である政府機関関係者
定員: 対面100名、オンライン500名程度
費用: 無料
主催: 国立研究開発法人 科学技術振興機構/内閣府
詳細: 総合知ワークショップのページにてご確認をお願いいたします。
参加申込URL:https://forms.gle/imn6fZjYZChiA2XF9(申込期限:2025年2月7日(金))

■プログラム
▼第1部:総合知をめぐる動向と全体状況(13:00-13:50)
▼第2部:基調講演(13:50-14:35)

・講演者(敬称略):馬田 隆明(東京大学 FoundX ディレクター/公益財団法人 国際文化会館 上席客員研究員 PEP ディレクター)
▼第3部:パネルディスカッション(14:50-16:30)
・パネリスト(敬称略):
木村 篤信 日本リビングラボネットワーク 代表理事/地域創生Coデザイン研究所 (NTTグループ)ポリフォニックパートナー
植木 美和 富士通株式会社 富士通研究所 コンバージングテクノロジー研究所 ソーシャルデジタルツインコアプロジェクト シニアリサーチマネージャー
土井 将義 北海道大学 学務部学務企画課 大学院教育改革推進室 専門員
中山 忠親 内閣府 科学技術・イノベーション推進事務局 上席科学技術政策フェロー/長岡技術科学大学 技術科学イノベーション専攻 教授 (学長特別補佐、総括URA)
馬田 隆明

・モデレーター:
濱田 志穂 科学技術振興機構 (JST) 研究開発戦略センター (CRDS)フェロー

■木村篤信について

[写真]木村篤信 大阪大学、奈良先端科学技術大学院大学を修了後、NTT研究所に入社。企業内に閉じられたデザイン研究・実践の限界を感じ、社会に開かれたソーシャルデザインの研究・実践プロジェクトを立ち上げる。福岡県大牟田市、奈良県奈良市とのリビングラボ共同実験プロジェクトを協働する中で、NTT西日本と理念を共有し、NTT西日本グループの子会社である地域創生Coデザイン研究所の設立に関与し、参画。現職。博士(工学)。東京理科大学 客員准教授。大牟田未来共創センター パーソンセンタードリサーチャー。日本リビングラボネットワーク(JNoLL)代表理事。京都大学デザインイノベーションコンソーシアム フェロー。ソーシャルビジネスネットワーク フェロー。横浜市PTA連絡協議会 理事。
主としてHCI、CSCW、UXデザイン、リビングラボの研究開発に従事。デザイン研究のチームを牽引し、企業のサービスデザインプロジェクト、地域のソーシャルデザインプロジェクトを多数実践し、コンサルティングや教育活動も行っている。現在は、「人々が主体的に共創できる社会」という地域創生Coデザイン研究所のビジョンに向けて、社会課題解決やウェルビーイング実現に向けたデザイン方法論やデザイン人材教育方法論などの研究・実践を主題にし、大牟田市などの地域パートナーともに、まちづくり、地域経営、サービスデザイン、社会システムデザイン方法論などの文脈で新しいソーシャルデザインのあり方を探求中。2023年には、セクターを超えた共創であるリビングラボを普及展開に取り組むために、日本リビングラボネットワーク (Japanese Network of Living Labs:JNoLL)を設立し、代表理事に就任。著書に「2030年の情報通信技術生活者の未来像」(NTT出版|2015年)等。

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