Column 座談会「ワーケーション×地方移住の可能性」の実施

観光/Maasに関するレポートです。

座談会「ワーケーション×地方移住の可能性」の実施

宮島中江町での地域活性化の取り組み

地域創生Coデザイン研究所 観光チームは日本有数の世界遺産であり観光地である広島県 廿日市市 宮島において、民間の宿泊事業者さまや飲食事業者さまなどと連携し『データに基づく観光地経営』に取り組んでいます。

宮島の中江町は、嚴島神社や大聖院といった観光スポットにも近く、「人と人との交流」をテーマに宿や飲食店、住民の暮らしが心地よく交わるエリアをめざしています。

 

2022年5月から宮島中江町の民間事業者の皆さまと連携し、各事業者の課題の探索や強みの把握を実施してきました。議論を重ねる中で宮島中江町のめざすべき地域コンセプトとして「快適でここちよい空間と新しい交流体験」を設定しコンセプトのターゲットになる”ワーケーション”や”地方移住”に興味のある方に向けての座談会を8月27日に実施いたしました。

 

座談会の開催

 

座談会では宮島中江町でゲストハウスを運営している”宮島ゲストハウス三國屋”のマネージャーである寺澤さまから宮島でワーケーションすることのメリットや、街づくりとワーケーションの関係について紹介いただき、その後は実際にワーケーションをきっかけに宮島に移住をした”ミヤジマベース”店主の吉沢さまから自身の実体験に基づいた移住体験談やワーケーションや移住が地域にもたらすものについてお話しいただきました。

 

イベントには自治体職員、学生、民間事業者、宮島内外のさまざまな方にご参加いただき、イベント後のアンケートでは、「今後も宮島中江町に関わりたい」と回答した方が85%を占め、多くの方に宮島中江町へ興味をもっていただくことができました。イベント終了後には登壇いただいた方々と参加者による交流も生まれ、宮島中江町の活性化につながるきっかけを作ることができました。

データ活用の観点

今回の取り組みでは、各事業者の課題の探索や強みの把握をする際にオープンデータや各事業者が保有している独自データを用いることで、エビデンスに基づいて検討を重ねてきました。

 

具体的には、まず最初に宿泊事業者の過去の宿泊データと全国や広島県の宿泊データの差分を比較することで、相対的に見た際の自社の顧客の属性や傾向を理解するところから始めました。

また実際に宿泊した方からの口コミデータを可視化し、強みの把握やブランドイメージの定義を行いました。従来も口コミに関しては目を通されていましたが、蓄積された口コミ情報をデータとしてまとめて可視化することで観光客の視点で見た際に「満足度が高いポイントはどこか」「何を期待して宿泊予約をするのか」などについて客観的に分析しました。

 

分析結果

 

”宮島ゲストハウス三國屋”の場合は、県内の他の宿泊事業者と比べ海外からのインバウンドが多く、宿泊者に占めるインバウンド客の割合が大半を占めており、コロナ禍による需要減少の影響が大きいことが課題でした。

また、口コミでは「フレンドリー・親切」や「リアルな日本(文化・場所・人)体験」「ゆったり、落ち着いた、心地よさ」などが高く評価されており、宮島中江町の地域コンセプト(=どういった人に訪れてもらいたいか)を設定するにあたり本データを参考に議論を重ねました。

 

議論の結果、地域コンセプトとして「快適でここちよい空間と新しい交流体験の提供」を設定し、親和性の高い”ワーケーション”や”関係人口”に興味のある方を宮島中江町に呼び込むことで、地域活性化につなげたいという思いから、座談会を開催する運びとなりました。

今後の展望

今後も、事業者の皆さまと協力しながら、まずは宮島中江町におけるブランド力の向上、地域の活性化に取り組んでまいります。また、宮島中江町での事例を起点に、取り組みエリアを拡大していきながら宮島におけるデータに基づく観光地経営への貢献をめざしていきます。

この記事を書いた担当者

津田 康太朗

ツダ コウタロウ

Coデザイン事業部
プロジェクト推進チーム
研究員 Coクリエイター

今回の取り組みでは、地域の事業者の皆さまと一体となり「課題の把握」から「施策の企画実行」まで支援させていただきました。現地でしか聞けない生の声を聞き、熱量をもって取り組む多くの方と対話することが出来ました。今後も地域の皆さまと”共創”をテーマに宮島や中江町の活性化に向けて取り組みたいと思います。