Column 『地域内の情報共有の在り方を考えるワークショップ』を開催

住民参加型コミュニティ・地域DX/地域通貨に関するレポートです。

『地域内の情報共有の在り方を考えるワークショップ』を開催

地域創生Coデザイン研究所は、セラミックバレー協議会、NTT西日本岐阜支店とともに、岐阜県東美濃エリアの伝統ある産業「美濃焼」を中心とした地域の活性化に取り組んでいます。

■岐阜県東美濃エリア『セラミックバレー美濃』での取り組み

「セラミックバレー協議会」は2021年4月に発足した民間企業を中心とした団体。国内最大級のやきもの産地である岐阜県多治見市、土岐市、瑞浪市、可児市からなる地域を「セラミックバレー」と名付け、この地域のリブランディング、美濃焼の産業発展や海外への展開などを通じて“世界があこがれる街”の実現に向けて取り組んでいます。

協議会の事業の一環として、この地域における情報共有の在り方や仕組みを検討し、業界の活性化や地域との新たなつながりの創出などを目的として、2023年9月より「情報共有プラットフォームプロジェクト」を始動し、NTT西日本岐阜支店も検討メンバーに加わりました。
定期的に会議を開催して議論を進める中で、地域における最適な情報共有の仕組みの実現に向けては、プロジェクトメンバーだけでなく、地域のさまざまな方の意見も取り入れ活動の輪を広げることが必要と考え、ワークショップの活用をNTT西日本岐阜支店より提案。今後のプロジェクト推進に向けて、仲間づくりや課題の洗い出し、具体的な取り組みの検討を行う運びとなりました。

■「地域内の情報共有の在り方を考えるワークショップ」を開催

2024年2月1日(木)セラミックパークMINOにて『地域内の情報共有の在り方を考えるワークショップ』が開催されました。

ワークショップには美濃焼の窯元やメーカー、陶磁器関連の美術館職員など総勢21名が参加。事業構想大学院大学 事業構想研究所 河村昌美教授にファシリテータを担当して頂き、次の4つテーマ毎に参加者主体のワーク形式で進めていきました。

  1. 情報共有の理想形を考える
  2. 情報共有に関する問題・課題の抽出・掘り下げ
  3. 情報共有のための具体的なアクションを考える
  4. パーパスモデルをつくろう

河村教授の言葉で特に印象的だったのは、「簡単に“情報共有”という言葉でまとめない」ということ。
つまり“情報共有”とは、

  1. 1)情報を集める
  2. 2)情報を整理・分析・加工する
  3. 3)情報を伝える・知ってもらう

この3つのプロセスを行うことであり、細分化した上でどこに課題があるのか、どんな対策が必要なのかを検討することで、効果的な取り組みにつながっていくことに改めて気付かされました。

また「情報共有のための具体的なアクション」として“みんなが集まれる場所(例えば喫茶店)をつくる”や“みんなの困り事や情報をあえてアナログ(掲示板、壁など)で見える化する”など、参加者からはデジタルな取り組みだけではなく、人と人のつながりを意識した温かみあるアイデアが発表されたことも地域の特性が現れていると感じられ印象的でした。

参加者の皆さまからも、ワークショップを通じて新たな気づきが得られたとの感想が寄せられました。

■参加者の声(参加者アンケートより抜粋)

  • ・地域や美濃焼業界をより良くしようと考えて、具体的に動いている方々が集まり、直に有意義な意見交換ができたこと。イベントの為のイベントではなく、ワークショップ終了後に具体的に動いて改善していくことが明確になった点が良かった。
  • ・他分野の人と知り合うことができ、つながりを持つことができた。
  • ・産業として美濃焼に関わる人たちを取り巻く現状を、彼らの言葉で聞くことができた。
  • ・課題は多いものの、前向きな姿勢や熱量を感じ、刺激を受けた。

最後に、情報共有プラットフォームプロジェクトのリーダーである土本さま(晋山窯ヤマツ 代表取締役)から「物事の考え方など、今回の情報共有だけでなく会社の業務で活かせる部分があると思いました。有意義な時間を過ごせました。この会自体も情報共有の場になるんだなと感じました。」とお言葉を頂きました。
今後も“情報共有プラットフォームプロジェクト”は協議会の事業として進めていかれるということで、「このワークショップをキッカケに、引き続きメンバーとして参加したいという方を募っていきたい!」と今後の活動への更なる意欲が感じられるお言葉もありました。

私たちも引き続き伴走しながら、やきもの産業、そして地域がより柔軟かつ効果的につながりをもてる理想の姿をめざしていきます。

この記事を書いた担当者

吉本 靖史

ヨシモト ヤスフミ

GX/まちづくりチーム
主任研究員 チーフCoクリエイター

今回の議論テーマは、我々の普段の業務の中でも課題としてあがるものの、なかなか有効な解決策が見いだせずにいるものでした。
とはいえ、強い思いと課題感を持たれて集まられた皆さんの熱い議論を聞いていると、きっと解決できる課題なんだろうなと思うことができました。
また河村教授からの言葉「簡単に“情報共有”という言葉でまとめない。」も目からうろこでした。
今回のワークショップは、私たちにも気づきの多いとても有意義なものでした。