神戸大学さまにて「地域観光データの集め方・活かし方」をテーマに講義
現在の日本において、観光を通じた地域活性化の重要性はますます高まっています。観光は地域経済を支える重要な柱であり、特に、データに基づく政策形成は重要視されており、科学的なエビデンスに裏付けられたアプローチが求められています。
こうした背景のもと、神戸大学国際人間科学部の学生を対象に「地域観光データの集め方・活かし方」をテーマに講義を行いました。この講義は、学生に観光業界でのデータ活用の必要性を理解してもらうことと、データ分析における基本的なプロセス、すなわち仮説を立てた上でデータを比較し、検証することの重要性を学ぶことを目的として実施しました。
講義ではまず、観光業界におけるデータ活用の背景を紹介しました。講義の前半では、観光業界におけるデータ活用の背景を詳細に説明しました。具体的には、少子高齢化が進行する日本において、データを効果的に活用し、生産性をいかに向上させるかが大きな課題となっていること、さらには他産業と比較して観光産業のデジタルトランスフォーメーション(DX)の遅れについてご説明しました。
講義後半のグループワークでは、RESASやFTASなどのダッシュボードを活用しました。学生たちは初めての体験ながら、データにアクセスし、テーマに沿って仮説を立て、その仮説を検証するためのデータを収集・分析し、各グループで結果を発表しました。限られた時間の中で、学生たちは仮説設定とデータによる検証を練習し、実践的なスキルを得ることができました。
これからの社会では、どの分野でもデータの活用は必須です。今回の講義を通じて学生たちが得た知識と経験が、彼らの学業や将来のキャリアで役立つことを心より願っています。
神戸大学 辛島准教授からのコメント
吉田研究員に出講をお願いするのは2度目になります。前回は社会人を対象とする観光リカレント講座でお話しいただき、受講者の中には他業種から観光業界(インバウンドメディア)に転身した人もいます。国際系といわれる私たちの学部でも、少なくない学生が地域活性化や観光振興に関係する仕事を志望しています。それに応えるべく、神戸大学国際人間科学部は観光を学ぶゼミやコースを整備しており、今回は観光やまちづくりに関心のある学部生に観光データ分析の基本をレクチャーしていただきました。福井県や政府の観光データを使った解説の後で課題が出され、3年生を中心とした15名ほどの参加者が3つの班に分かれて喧々諤々。どのように観光政策や商品がつくられるべきかを学ぶ機会となりました。卒業研究や進路選択にも活かされるでしょう。