建設現場の“削減しきれないCO₂”に向き合う
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マンション大規模修繕工事におけるJ-クレジット活用

株式会社地域創生Coデザイン研究所は、木村工業株式会社が施工した「ユーハウス新瑞 大規模修繕工事」において、工事現場単位で算定されたCO₂排出量のうち、現場での削減努力を行っても削減しきれない残余排出に対し、森林由来J-クレジットを活用したオフセット設計およびクレジット無効化を支援しました。
同工事は、第16回マンションクリエイティブリフォーム賞を受賞した案件であり、木村工業株式会社が施工会社・設計監理者として参画しています。
建設業、とりわけ改修工事の現場では、現場内の電力・燃料使用だけでなく、塗料・建材など資材の製造・調達段階に由来する排出が大きな割合を占めるため、施工会社単独で排出量を大幅に削減することには構造的な制約があります。本事例は、そうした制約を前提に、排出量の把握、現場での削減、残余排出の補完という順序で取り組んだ、実装型の脱炭素事例です。
当社は、こうした企業の脱炭素実装を支援するとともに、J-クレジットの活用を通じて地域の森林整備・環境保全にも資金が循環する仕組みづくりを重視しています。今回活用した森林由来J-クレジットは、森林整備と気候変動対策の両立を目的として創出・販売されているものであり、その販売収益は森林整備や環境保全に活用される予定です。
企業の脱炭素対応と、地域森林の保全・再生をつなぐこと。
私たちは、J-クレジットを単なる排出量調整の手段にとどめず、自然資本を活かした地域循環とまちづくりにつなげる支援に取り組んでいます。
1. 概要
- 対象案件:ユーハウス新瑞 大規模修繕工事
- 施工・設計監理:木村工業株式会社
- 受賞:第16回マンションクリエイティブリフォーム賞
- 主な取り組み:
- 工事現場単位でのCO₂排出量算定
- 現場での電力・燃料・資材搬出入等に関する排出量の把握
- 現場で実行可能な削減施策の実施
- 削減しきれない残余排出に対するJ-クレジットの活用

※写真提供:木村工業株式会社
- 木村工業株式会社が算定した排出量を踏まえたオフセット設計
- 森林由来J-クレジットの調達
- J-クレジットの無効化によるオフセット実行支援
2. 背景:多くの企業が直面する「削減しきれない排出」へ向き合う
脱炭素経営に取り組む企業にとって、CO₂排出量の算定や削減は重要な経営課題となっています。一方で、実務の現場では、すべての排出を自社の努力だけで直ちに削減できるわけではありません。
特に建設業では、現場で使用する電力・燃料に加え、塗料や建材などの資材製造段階に由来する排出が大きな割合を占めます。ユーハウス新瑞 大規模修繕工事の公表資料においても、CO₂排出の7割以上が使用資材の製作過程から発生するCO₂であったこと、また資材由来排出の把握や削減にはメーカー側の情報開示や代替資材の選択肢が課題となることが示されています。
こうした状況において重要なのは、オフセットを削減の代替として扱うのではなく、まず排出量を算定し、削減努力を行い、それでも残る排出に対して補完的に活用することです。本事例は、まさにそのプロセスを実際の建設現場で実装したものです。
削減の取り組み①ソーラーパネルの活用による現場電力使用量の削減

削減の取り組み②運搬・搬入車のハイブリッド車/EV使用要請

削減の取り組み③副資材等のバイオマス製品/梱包レス製品の使用

削減の取り組み④DXの活用によるペーパーレス化

※いずれも写真提供:木村工業株式会社
3. 取り組み内容:木村工業株式会社の挑戦と私たちの支援
木村工業株式会社は、1940年創業の建設会社であり、ビル・マンションの大規模修繕工事、特殊塗装、防水工事、耐震補強、内装リフォームなどを手がけています。同社は、工事の品質だけでなく、工事以外の見えないサービスや対応まで責任を持つ姿勢を掲げています。
「人にも環境にも優しい現場、居住空間づくり」をテーマに掲げた今回のユーハウス新瑞 大規模修繕工事では、木村工業株式会社が工事現場単位でCO₂排出量を算定し、現場での削減施策に取り組みました。公表資料では、工事に係る合計CO₂排出量が約10,447kg、現場での努力による排出削減量が約628kg、差し引き排出量が約9,819kgとされています。

現場での削減努力の結果、約6%の排出削減を実現し、残余排出についてはJ-クレジットを活用する方針を採用しました。これは、建設現場における排出削減の難しさ、特に資材由来排出への対応の難しさを踏まえた実践的な判断といえます。
地域創生Coデザイン研究所は、木村工業株式会社が算定した排出量のうち、削減しきれない部分に対して、森林由来J-クレジットを調達し、クレジットの無効化を通じてオフセットを実行しました。
本事例の特徴:実務に根差す脱炭素
本事例の特徴は、単にJ-クレジットを購入・活用したことではありません。重要なのは、以下の順序を明確にしている点です。

1.排出量を算定する
工事現場における電力、燃料、資材搬出入等に伴うCO₂排出量を把握。
2.現場で削減努力を行う
実行可能な削減施策を検討・実施。
3.削減しきれない残余排出を特定する
建設業特有の資材由来排出など、自社努力だけでは直ちに削減が難しい領域を整理。
4.残余排出をJ-クレジットで補完する林由来J-クレジットを活用し、クレジット無効化によりオフセットを実行。
オフセットは、排出削減の代替ではありません。削減努力を行ったうえで、現時点では削減しきれない残余排出に対して補完的に活用するものです。本事例は、この考え方を実際の建設現場に落とし込んだ点に意義があります。
5. 本事例の意義
木村工業株式会社にとっての意義
木村工業株式会社にとって、本取り組みは、同社が重視する「品質」と「見えないサービスへの責任」を、脱炭素の文脈で具体化したものです。
建設現場では、完成後に見えにくい部分にも多くの責任が伴います。CO₂排出量の算定や、削減しきれない排出への対応もまた、従来の施工品質だけでは測れない、新しい時代の説明責任といえます。
建設業において、現場単位での排出削減には限界があります。今回の取り組みでは、そのような難しい課題に対し、算定・削減・補完という手順を踏み、実務に即した脱炭素対応を行いました。この点に、木村工業株式会社の先進性があります。同社によれば、こうした取り組みは採用広報の場面においても発信力を持ち、人材獲得・定着の観点でも一定の効果が出ているとのことです。
地域創生Coデザイン研究所にとっての意義
当社は、J-クレジットを単なるオフセット手段としてではなく、企業の脱炭素対応と地域の自然資本をつなぐ仕組みとして活用することを重視しています。
今回は、木村工業株式会社が算定した排出量を前提に、削減しきれない残余排出に対して、兵森林由来J-クレジットを活用しました。
今回活用した森林由来J-クレジットは、2つの観点から選定しました。
第一に、クレジット調達から無効化までのプロセスが追跡可能であること。
第二に、販売収益が森林整備・環境保全に再投資される循環設計になっていること。
こうした「質」を基準にクレジットを選定することで、企業の脱炭素対応と森林保全への貢献を結びつけながら、対外的に説明可能な形でのオフセット実行を支援しました。
6. 森林由来J-クレジット活用を検討すべき企業
本件のような取り組みは、特に以下のような企業に参考となる事例です。
- 自社努力だけでは短期的な削減に限界がある企業
- 顧客や発注者に対して、脱炭素の取り組みを分かりやすく説明したい企業
- 実態に即した説明可能な環境対応を進めたい企業
- 地域森林由来のJ-クレジットを活用し、脱炭素と地域貢献を両立したい企業
- 自社のサステナビリティ活動を、営業提案や対外PRにも活用したい企業
7. お問い合わせ
事業活動に伴うCO₂排出量の算定や、削減しきれない残余排出へのJ-クレジット活用をご検討の企業さまは、ぜひ当社までお問い合わせください。
私たちは今後も、企業のJ-クレジット活用を支援するだけでなく、地域の森林・自然資本に資金が還流し、地域課題の解決やまちづくりにもつながるモデルの実装を進めてまいります。
参考・出典
- 木村工業株式会社 ホームページ
https://www.kimura1940.co.jp/profile/ - 一般社団法人マンション計画修繕施工協会「第16回(2026年)マンションクリエイティブリフォーム賞」
https://www.mks-as.net/creative-reform/3454/ - 一般社団法人マンション計画修繕施工協会「ユーハウス新瑞 概要PDF」
https://www.mks-as.net/wp/wp-content/uploads/2026/05/ユーハウス新瑞_概要.pdf
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